全国大会開催レポート公開

10月20日(日) 第9回HSE・ネクスト全国大会を開催いたしました。

Kaeマネジメントは2010年から東京での活動を始め、薬局経営に特化した「HSEセミナー」の開催、2011年からは後継者や若手経営者のための「ネクスト経営塾」、そして現在は「薬局経営研究会」と15年に渡り薬局経営に関するセミナーを開催してきました。

HSE・ネクスト全国大会は、全国で知り合った仲間達が集まれる場、そして紹介できる場として2012年に第1回目を開催。新型コロナウイルス感染症による休止を2020年以降していましたが、本年4年ぶり開催をいたしました。

全国から100名近い方にご参加頂き、前夜祭・当日と大盛況のもとに終えることが出来ました。

弊社懇親会の特徴は食べるよりも名刺交換!
積極的な情報交換が行われました。

本ページではそんな全国大会の情報をすこしだけ皆様にご紹介させていただきます。

第1講義 駒形和哉氏 (Kaeマネジメント 取締役会長SAN)

基調講演は弊社「駒形和哉」より薬局の経営環境の変化についてお話をさせて頂きました。国のビジョンは2025年から2040年へ。外来患者が減り、在宅医療へ市場がシフトしてきます。現在医療DXも進められていますが、「オンライン」がこれから大きなカギとなります。その時に大事なことは「ラストワンマイル」戦略です。待っているだけの薬局運営から、外に出る、外に対応する運営モデルへの転換が求められます。

第2講義 山下由記氏 (ハッピーファーマシー取締役副社長)

愛媛県松山市で22店舗の薬局を運営するハッピーファーマシー。そのほとんどが健康サポート薬局、地域連携薬局を取得しています。(専門医療機関連携薬局は現在資格取得に挑戦中)
2012年に在宅薬局の営業権を授受したことを機に在宅への取組も強化しています。現在関わる患者・利用者は約4000人とのこと。特徴的だったのが、「薬剤師が薬剤師業務を行う」ための取組です。0402通知を機に業務を大きく見直し、全店舗で多くの調剤機器を導入。ピッキング監査システムは全店舗に導入し、安全性への配慮も行っています。
健康サポート薬局制度が施行後は、「相談できる薬局」作りを見直し、投薬口の改装、出来る店舗では店舗拡大や建替え、改築を行っています。

地域に対しては、管理栄養士による出前講座での講演や、「子ども食堂」「おとな食堂」の開催しています。

今後のビジョンとしては「すべての薬剤師が必ず何かの学会に所属」を目指し様々な学会に多くの職員が所属しています。学会に所属することで自己研鑽を積み、薬分野において確固たる姿勢で進言できる薬剤師を目指していくと力強くお話いただきました。

第3講義 櫛部周平氏 (ケアフェイン 在宅ケア薬局 代表取締役)

自らが理想の在宅医療・チームを作っていくために2020年6月に独立し創業。「在宅専門薬局が(運営的に)成立するのかを皆さん知りたいのですよね?」と今回はそんなニーズに応えてくれるべく、さまざまな数字を公開してくれました。創業から3年の昨年度の売り上げは1.7億円、6月には新規在宅店舗を立ち上げ現在2店舗でスタッフが札幌市内を駆け回っているとのこと。
成長の要因は「緩和というニッチな他の薬局が敬遠する仕事を率直に全力でやってきた」ことだと分析。嫌煙されがちな夜間休日対応も、「外来だけやっていれば拒否感があるかもしれないが、自分が関わっている在宅医療では”あって当然”と思えば問題にならない」と話しています。実際に24時間365日薬剤師チームでフル稼働しています。
創業後すぐにクリーンベンチを導入し、無菌対応を開始。無菌製剤処理加算の昨年度算定回数は100回を超えます。
短い時間でしたので、気になる「収益」を中心にお話頂きましたが、緩和ケアへの対応など非常に学びを多い講演でした。

第4講義 徳吉淳一氏 (徳吉薬局 代表取締役社長)

「Kaeの愉快な仲間達」の代表である徳吉社長は鳥取県鳥取市で10店舗運営する三代目経営者。会社としての運営方針は「鳥取からでない」「M&Aに屈しない」「介護施設は運営しない」と3つのポリシーを掲げています。
徳吉薬局の企業理念は「More Than A Pharmacy」(薬局以上の存在)です。たくさんある「薬局」(A Pharmacy)から選ばれる「薬局」(The Pharmacy)になることを目指し、地域に向けて様々な取り組みをしています。
取り組み例として、「病児保育の運営」「学童保育の運営」が説明されました。薬局、居宅介護支援事業所、病児保育、学童保育とそれぞれの事業が対象とする「地域」を明確化し、どれだけの住民と関わっているのかを数字化し目標に組み込んでいるのが印象的でした。薬局掲示物は「地域との約束、書いてあることはやらなければいけない」と薬局機能を明確にするとともに、情報の発信をしています。薬局が取り組む「医療・介護」と、他事業でとりくむ「非医療・非介護」を好循環させ、地域ナンバーワン薬局を目指し取り組んでいるということです。

第5講師 杉浦伸哉氏 (スギホールディングス 取締役副社長)

4年ぶりとなる全国大会。メイン講演にはスギホールディングス株式会社の杉浦副社長にご講演をお願いしました。ご講演内容にはあまり触れられませんが、自社で考えるこれからの医療提供・地域包括ケアについて沢山の取組をご紹介いただきました。
薬局とドラッグストアは「保険調剤」において競合と言われていますが、この8兆円という市場を「コンビニ業界」「IT業界」「スーパー業界」が参入の機会を狙っています。ドラッグストアと併せるとその市場は17兆円という大きな市場です。
ドラッグストアの処方箋というと軽度という印象が強いですが、抗がん剤等のスペシャリティ医薬品にも多数対応。どんな処方箋も断らず、在庫のリスクは店舗間の横のつながりで解決をしていくという大手の強みを感じました。
色々な仕組み、接点づくりから処方箋獲得を目指しているが「かかりつけ薬局を持っている患者さんは買い物に来ても処方箋は持ってこない」と地域の薬局に対するヒントもポロっと。ここではお伝え出来ない沢山の情報を提供して頂きました。

最後に

最終講演は全国大会のまとめとして弊社駒形公大から、これからの「選ばれる薬局つくり」についてお話をさせて頂きました。各講師と事前の打合せはしていませんが、結果としてご講演いただいた各講師それぞれが「選ばれる仕組み」を模索し、トライアンドエラーを繰り返しています。挑戦に規模の大小はありません。また規模の大小は来局される患者には関係ありません。選ばれるための行動を起こすことが大事なのではないでしょうか。

コロナ終息後はじめての全国大会となりましたが、「宿泊費高騰」という予期せぬ事態もありましたが、全国から多くの方にご参加頂きました。そして多くの新しい出会いときっかけが生まれたと感じています。

情報がオンライン化する中で、リアルでしか得られない熱気と臨場感。そして講師も、クローズだから話せる情報と改めてリアル開催の良さを実感しています。来年は今年以上に多くの方々と出会える場となるように弊社もまた来年に向かって行動を再開したいと思います。ご参加頂きました皆さまには心より感謝申し上げます。

最後まで読んで頂き有難うございました。

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